心に残る表現(前篇/言葉編)

今回と次回、前後篇にわたり「心に残る表現」について、自社実績をもとに私なりの考えを記したいと思います。

まず、今回は言葉編です。

サンプルとしてご紹介する実績はこちらの「あおさPRポスター」。

クライアントさま曰く、展示会の際このポスターの前で多くの方が足を止めて興味を示してくれる・・・とのこと。

皆さんが興味を示してくれる理由はどこにあるのでしょうか?
インパクトがあるから、では答えになりませんよね。
「何がインパクトにつながっているのか」を知る必要があります。

 

分析を行うにあたって、クリエイターの大御所・真木準氏の実績を紹介した書籍「一語一絵」の前書きの一文を紹介します。

心奪う一語と目奪う一絵が出会い、表現の最高峰を生み出す。

真木準氏の言う「表現の最高峰」。これが、即ちインパクトなのではないかと考えます。
そして、氏は「表現の最高峰」を生み出すには、「心奪う一語」と「目奪う一絵」の出会いが必要・・・と言っています。
 そこで、今回はまず「心奪う一語」を切り口に「言葉」について分析をしていきます。

あおさPRポスターのコピー

あおさ、
どこさ?
三重さ。

は、担当ディレクターを中心に、担当デザイナーをはじめ他のスタッフを交えてブレストを行い生まれた言葉です。

いくつも案が出たのですが、唯一このコピーは直感で「いい!」と感じました。そんなコピーは多くはありません。ポスターを見て足を止める方は、きっと、直感で何かが心にひっかかってのことだと思います。

 

では、なぜ直感で「いい!」と思ったのか?
改めて分析すると、次の3つの理由が考えられます。

(1)文字数が少ない
人が一瞬で識別できる文字数は9~13文字と言われています。このコピーは、9文字なので目にしたとたんに読まずとも一瞬で意図が伝わっていると考えます。

(2)直接的でない
ポスターで伝えたいことは「三重県はあおさのりの生産量が日本一である」ということでした。なら、「あおさは三重県!」でもいいわけですが、これだとストレートすぎて関心をひきません。ひとひねりしたことで面白みが生まれ興味につながったのだと考えます。

(3)言葉のリズム
全て3文字、さらに全て語尾が「さ」の繰り返し。耳なじみがよく、覚えやすく、はやり言葉のようについ、口にしてしまう・・・そんなリズムの良さも「いい!」と感じる大きな理由ではないかと考えます。

 

以上のように分析をしましたが、理由がわかったからといって、次にまたいいコピーが作れるわけではありません。
また、世の中の素晴らしいコピーにはもっと別の「いい!」と感じる理由があります。

こういう切り口もある・・・ということを頭に入れて、また皆で次のお仕事に向き合っていこうと思います(^^)。

 

次回は「心に残る表現(ビジュアル編)」として、目奪う絵とは?について考えていきます。


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