6月19日、三重県の「働き方改革拡散事業」のキックオフイベントにてサイボウズ・青野社長のお話を聴いてきました。
サイボウズでは働き方改革の取り組みを「働き方改革」ではなく「働き方の多様化」と言っているそうです。
そのベースにあるのは「100人いたら、100通りの働き方がある」という考え。
やりがいは人によってさまざま、また、離職理由も人によってさまざま。いろんな人事制度を試行錯誤してきたものの、モチベーション高く、長く活躍をしてもらうためには、一人ひとりに向き合う以外なかったというわけです。
サイボウズは「働き方の多様化」を実現し、メンバーそれぞれが望む働き方ができるよう
●多様な勤務形態
●働きたい場所で働く「リモートオフィス」
●副業OK
●小学校就学までの6年間何度でも休業できる育児休暇
●最長6年間は復職できる「育自分休暇」
など、さまざまな制度を設けています。
経営者的には、「こんなことして会社大丈夫か?」と心配になってしまいますが、これが、サイボウズではプラスに働いています。
例えば・・・
●副業で農業をしている社員が、サイボウズ商品で「農業の生産管理システム」を開発し、それがニュースになり、結果、農家さんにサイボウズ商品が広まった。
●実家に戻らなくてはならない社員がいたため、実家のある地域にリモートオフィスを設置。結果、その地域でのサイボウズの販売が大きく伸びた。
●育自分休暇を取得し海外で数年暮らした社員が復職。→海外進出時に大きな貢献が期待できる。
などなど、個人が会社以外のつながりで得た知見やネットワークが、会社の資源となって発展に寄与しています。
青野社長は働き方改革には2つの視点があるとおっしゃってみえました。
ひとつは組織視点の「生産性の向上」
ひとつは個人視点の「幸福度の向上」
働き方改革の議論において、互いの視点でぶつかることがありますが、いずれか一方だけではなく両方の視点をもつことが大切なのですね。会社のために個人が我慢をするのではなく、個人のために会社が何をできるかを考え社員の幸福度を高めることが、結果、サイボウズのように生産性の向上につながります。これまでは「個人の幸せ」を犠牲にしてでも「会社の幸せ」が優先されていたけど、これからは、「個人の幸せ」を実現することが「会社の幸せ」につながる・・・今、まさに大きなパラダイムシフトの渦中にあるのだと感じました。
エストも約3年前から働き方改革に取り組んでいます。
これまでの「デザイン制作業界で残業が多い、休みが少ないは当たり前」という考えを180度転換しすすめてきましたが、「こんなことして売上が減るのでは」「お客さまから選ばれなくなるのでは」「生ぬるいだけの会社になってしまうのでは」といった不安もありました。ところが、私が望む以上に、スタッフのみんなは、青野社長の言うところの「2つの視点」を理解し、実践してくれています。そして、徐々にではありますが、会社はいいふうに変化をしています。
これらの取り組みを通じて、働き方の多様化を実現するためには、まずはベースとして「信頼関係」がなくてはならないと感じています。社員に信頼される会社であること、そして、社員を信頼することが大切なのですね。
これからも、みんなを信じて、力をあわせて、幸福度の高い会社を目指していこうと心に決めた講演会でした。